レトロフォーカス方式という間違った表現は藤井旭氏に責任あり
2009-06-19


望遠鏡を使った撮影方式として一部で「レトロフォーカス方式」などという表現が使われているという疑問について、全て藤井旭氏に問題があることが判明しました。

氏は天体写真のパイオニアとも云うべき人で、私自身も氏の著書で天体写真をはじめた一人でもあります。実際に「星空への招待」というイベントに参加して目にしたこともあり、尊敬に値する人だとは思います。 しかしながら、影響力のある人間は「用語」については細心の注意を払う必要があります。その点においては別の次元なので氏には業界的に反省の弁を述べてもらいたいと思います。

以下に情報の出所を整理してみましょう。

レトロフォーカスという用語を使っている解説書

いずれの書籍でも対物レンズとカメラの間に凹レンズ(バーローレンズ)を挿入した合成焦点距離を伸ばして、望遠効果を高める撮影方法として紹介していますが、用語の語源などは全く触れていません。

なお、バーローレンズは接眼部にアイピースを取り付ける前提で追加で取り付ける製品しかありません。したがって、直接焦点用カメラアダプターでは撮影することができず、拡大撮影アダプターを使うしかありません。後述するように「拡大撮影法」の一つとしての「リレーレンズ方式」という表現の方がしっくりします。氏の使い方を実現できるのはレンズメーカ、カメラメーカが出しているテレコンバータしかありません。しかし、上記の書籍ではテレコンバータを利用した撮影はレトロフォーカス方式の一例としては紹介されていません。

レトロフォーカスという用語を使っていない解説書

レトロフォーカスという言葉を使っていない藤井旭氏の著書では「間接撮影法」の一つとして、バーローレンズを使った撮影方法は「リレーレンズ方式」の一つの例として挙げています。こちらの方が適切。沼澤茂美氏の著書では単純にバーローレンズを使った「拡大撮影法」という表現を使っています。 また、八坂八坂康麿氏の著書では以下の分類で説明しています。

要するに、いずれの書籍でも専門的な「用語」として「レトロフォーカス」などという言葉は全く紹介していません。

ウィキペディア以外でのWeb検索(retrofocus/retrofocus telescope)結果

そもそも「レトロ」・「フォーカス」とは


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